大阪府大阪市 中耳炎 坂本クリニックグループ

大阪府大阪市阿倍野区、坂本クリニックグループの
監修による中耳炎の総合情報ページです。

見解の分かれる滲出性中耳炎治療

私は、自身でクリニックを開設するまでは、大阪市立大学附属病院で「中耳炎外来」を担当していました。

そのために、現在でも大阪市立大学附属病院へ患者様を紹介したり、逆に、大学病院から坂本クリニックグループに滲出性中耳炎の患者様が紹介されてお越しになられる状況にあります。

結論から申し上げて、お子さんの滲出性中耳炎の治療について、私は「鼓膜チュービング留置治療」を推奨していません。

<チュービング治療とは>
鼓膜に小さな穴をあけ、そこにチューブを挿入し設置することで滲出液の排泄を促し、中耳の喚起を良好にしようという治療。

小さなお子様の場合は原則的に、全身麻酔(入院)の上でチューブを入れる手術をしなければなりません。また、チューブを入れることでチューブ脱落や感染が懸念されます。 チューブの穴と周囲に耳垢が付着しています さらにチューブの穴やチューブの周囲に耳垢が溜まることにより、チューブの機能を果たさなくなっていることも多々あります。そのために一度入れると、一見、ケアフリー(病院に行かなくても良いと考えること)と思われるチューブの留置も、耳垢を溜めないため、そして通気治療の為に結局通院が必要になるのです。

…と、いうことは「通院しなければならないのであれば、リスクを背負ってチュービングの手術を受ける必要性があるのか」が甚だ疑問である、ということなのです。

チュービングを繰り返すと、菲薄化(鼓膜が薄くなってしまうこと)や、稀に真珠腫性中耳炎に移行する恐れも否定できません。

また、チューブを抜く時期についても施設によって異なっており、実ははっきりとは確立されていないのです。(チューブを抜いても中には鼓膜が閉じなくなってしまった例もあります。)

滲出性中耳炎の治療のための通院は、時間と忍耐がかかるものです。

滲出性中耳炎の治療の際に行う、鼻から耳へ空気を通し、滲出性中耳炎で溜まった液の排泄を促す、通気治療を行うスピードも、私はかなり速く空気を通すことができますので、痛みや鼻の奥の不快さがほとんどありません。

医者仲間の間や、患者様の中でも「通気が痛みもなく上手」と、評判を聞きつけて遠方から来られる患者さんもいらっしゃいます。(無論、何の自慢にもなりませんが…。) 他院でチュービングをすすめられ、当院に相談される患者様も多くいらっしゃいますが、チュービングをせずに治っていく患者様も多くみられます。本来人間はよほどのことが無い限り、人為的に体にメスを入れたり、異物(チューブ)を入れることは自然の摂理に反していると私は考えており、私の滲出性中耳炎に対する治療法のスタンスとしては、鼻の処置ならびに通気治療、投薬を行っています。

様々な医院から滲出性中耳炎で当クリニックに相談に来られますが、子供さんの中には通気をしても全く空気が通っていないケースが多数みられます。

当クリニックグループでは確実に空気を通す手法があるので、それによってなかなか良くならなかった患者さんが快方に向かわれる例が多々あります。

それぞれのドクターによって滲出性中耳炎に対するアプローチは異なる場合も多々ありますが、上記もその中のひとつの考え方であり、我々開業医にとっては、体にメスを入れず、手術無しで患者様の病気を治し、患者様が自然に備わっている治癒能力を引き出すお手伝いをすることが基本であると考えています。