一般的に、夏の暑い時期よりも冬の寒い時期のほうがよく鼻水が出るものです。そして、冬の寒い時期は乾燥もしていますので、風邪やインフルエンザにかかりやすく、一年を通して急性中耳炎を発症しやすい季節と言えるでしょう。
急性中耳炎は早期に治療を行わなければ、鼓膜の内側の中耳に膿がたまり続けて、滲出性中耳炎に移行したり、急性中耳炎を繰り返すことにより、鼓膜を破って耳だれが出つづけて、鼓膜に穴が永久的にあいてしまう慢性中耳炎に進行することがあります。
そのためには、耳が痛くなったり、そして鼻風邪をひいた場合には耳鼻咽喉科を受診して頂き、しっかりと完治するまでは通院されることをおすすめします。
治ったと思って病院に行かなくなってしまうと、再発を起こしてしまう可能性が高いのです。
もちろん社会人の方で仕事が終るのが遅かったり、お母さん方が忙しく、子供を医院に気軽に通院させられない状況があることも、やはり現代社会の中では止むを得ないことでしょう。
よって、現在では日本中に多くの耳鼻咽喉科医院が存在しているのですから、どこか一箇所と決め付けず、受診に都合の良い曜日・時間帯でいくつかの耳鼻咽喉科を掛け持ちして、処置をしてもらうくらいの感覚でいたほうが、結果としてお子さんの体にとっては良いのかもしれません。
私は必要があれば、鼓膜切開は行うべきだと考えています。
ただし、それによって耳鼻咽喉科を受診する際に治療に時間がかかるなど恐怖心などが生まれることが予想されるお子様の場合には、それらを勘案した上で判断するようにしています。
それに加え、現在では昔と異なり生活環境、ならびに食生活が良くなったために、鼓膜が腫れるお子様は比較的少なくなってきているという現状もあります。
そのために以前に比べ切開の件数は減ってきています。
しかも、現在では薬の進歩もあって、投薬のみで治るケースが殆どです。鼓膜切開をしたところでその部分が穴が開いて閉じなくなることもごく稀にあるのが現状です。(鼓膜切開をすることによって我々医師は報酬が高くて儲かるのかもしれませんが…。)ただ、鼓膜を切開するというと、怖いイメージがあるかもしれませんが、鼓膜を切開しても通常鼓膜はすぐに2~3日で閉じ、修復するので心配はありません。
ただし、そういった意味では、数日で鼓膜が閉鎖するために、通院していただく日数にさほど変わりはありません。(お子様は鼓膜切開によって暴れることが多々あります。それによって子どもさんがその後に診察に非協力的になってしまい、通院期間が長引く場合があります。)
耳は外耳・中耳・内耳で構成されています。
鼓膜に穴が開いていない限りは耳の外からいくら菌や水が入っても中耳に入ることはありません。
ただし、プールの水を飲み込んで、鼻から耳管を通って中耳に水が入った場合には、中耳炎にかかる危険性があります。
時期としては冬の季節が最も急性中耳炎になりやすいといえます。一般的に、冬の寒い時期にはよく鼻水がでるものです。そして冬は乾燥もしているため、風邪やインフルエンザにもかかりやすく、一年を通して急性中耳炎を発症しやすい季節であるといえます。
なによりも安静にしていただき、痛みが激しい場合には痛み止めを使い、消化の良い食事と水分補給をします。そして、早期に抗生剤を投与して炎症を食い止め、耳の周囲を冷やすようにします。
風邪などの原因となる中耳炎は、鼻やのどの炎症から起こりますので、鼻水の多い時には鼻の治療を、そして咳やのどの痛みがあるときにはのどの治療をして、耳管の入り口を清潔にしなければなりません。また、鼓膜の発赤や腫れが著しかったり、激しい耳の痛み、あるいは高熱、頭痛がある場合には、鼓膜を切開して中耳より膿を出す場合もあります。