
昔から子供といえば決まって外で遊び、走り回ったり…、というのが相場でした。フィギュアスケートの選手がクルクルと回ってとも立ちくらみが起こらないのと同じ要領で、よく体を動かす子供たちはめまいとは縁遠いものだという印象がありました。
しかし、最近になってめまいを訴えるお子様の数も増えてきているのです。それは「外で遊ばなくなった」、という簡単な理由で片づけられるものではなく、こちらについてもどうもストレスが関係しているようなのです。
起立性調節障害といって急に立ち上がったり走り出した瞬間に脳が貧血の状態になるめまいや、中耳炎が原因となるめまいは子供にも昔から存在し、こちらは血液検査や、中耳炎の診断により見つけることができるのですが、ストレスによる(心因性)のめまいは注意深く診断を行わないと見つけることができません。なぜならお子様は親御さんと一緒に受診される場合が多く、親の前で自分の受けているストレスについて話をしたがらない傾向にあるからです。
ストレスが引き金となる場合も多いメニエール病は従来は大人の病気でしたが、最近では10歳以下のお子様が発症するケースも出てきています。子供がめまいの症状を訴えたら、ストレス以外の原因はもちろんですが、お子様の日々の生活に何か変わった点がないか等を注意してあげるのが良いかもしれません。

めまいの中でも心因性の自律神経失調症を原因としためまいの方が増えています。当クリニックでは耳性のめまいはもちろんのこと、自律神経失調症が原因となるめまいの診断を行っていますが、年々「心因性自律神経失調症」と診断される方が多くなってきているのが日々診察を行っていく中で、感じるところです。
めまいのほかにも
- ①立ちくらみを起こしやすい
- ②立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
- ③入浴時や自分にとって嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
- ④少し動くと動悸・息切れがする
- ⑤朝なかなか起きられない
- ⑥顔が蒼白い、食欲が不振、時に腹痛を起こす、疲れやすい
上記のような状態や症状を感じる方が多いようです。体はストレスを敏感に受けて反応するため、家庭や学校、職場において受けるイライラや疎外感、不安感が「心因性自律神経失調症」の引き金となってしまうようです。
また、女性の場合はこれに加えて
- ①月経
- ②妊娠
- ③出産
- ④閉経

なども、自律神経失調症を発症させる要因になりえるため、先ほどのストレスと合わせて、自律神経失調症が男女でみると圧倒的に女性に多いのもこの事が影響しているものと考えられています。
「ストレスを受けるな」と言葉でいうのは簡単ですが、社会生活を送っているうえで、ストレスを一切受けずに暮らしていくのは難しいというのが実際の所でしょう。
そんな中でも、自分のストレスを少しでも解放してあげるために、休息をとったり、時には自分へご褒美をあげるなど、そういったことが精神の安定にもつながってゆきます。社会生活はもちろん大切ですが、貴方の体以上に大切なものはありません。どうしても強いストレスで体が参ってしまうような場合には環境を思い切って変えることも必要になる場合もあります。